参道に向かう神社の入口には、どっしりとした伏見城の“大手門”がむかえてくれます。豪壮な門構えに加えて、屋根裏には、見落としがちな4枚の力強い「蟇股」があります。中国に伝わる後世の範として“孝行“が特に優れた「中国・二十四孝」のうち、①楊香、
②敦巨、③唐夫人、④孟宗の4人が彫られています。二十四孝の蟇股を見ていると、伏見城を築城した母親思いの秀吉を偲ぶことができます。
参道を進んでいくと、京都府指定文化財の割拝殿があります。伏見城の「車寄せ」を移した説と、伏見城の鬼門の位置にあった「古御香宮」の社殿を移した説などがあります。正面の軒唐破風は、「鯉の滝のぼり」や「琴高仙人」など、手の込んだ色鮮やかな彫刻が目を引きます。18枚の蟇股も、虎や鷹、想像上の動物など、カラフルな桃山建築の装飾が楽しめます。
本殿の正面は、鳥が伸びやかに翼を広げ、虎がぎょろりとにらむ絵、背面の大きな板壁には、極彩色の柳と梅が描かれています。
また、名前の由来となった香りの良い水が湧き出ている「御香水」や、鳥羽伏見の戦いの戦跡を表す「石碑」などがあります。
毎年10月1日~10日までの「神幸祭」は、伏見9郷の総鎮守の祭で、「伏見祭」とも「花傘祭」と呼ばれています。 レポート:T 渡邊