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京都・鴨川周辺の歌碑・句碑を訪ねて

 

かにかくに碑 P1030617祇園情緒あふれる祇園新橋界隈に鎮座する辰巳大明神から白川通りに沿って鴨川方面へ歩を進めると人が寝ころんでいる形をした大きな『かにかくに碑』の碑があります。これは大正から昭和期に活躍した歌人の吉井勇を顕彰した歌碑です。

「かにかくに 祇園はこひし寝るときも 枕の下を水の流るる」

この歌碑は昭和30年に、吉井の古希に谷崎潤一郎をはじめ多くの友人が吉井の愛したお茶屋「大友(だいとも)」があった場所に建立したものです。 現在建立された11月8日は毎年花街・祇園甲部の行事として『かにかくに祭』が催され多くの芸・舞妓たちが祭に花を添え、多くの観光客や地元の人達で賑わいます。

「かにかくに碑」をあとにして西方へ進み川端通りから鴨川沿いを北へ川沿いを三条大橋へと歩くと橋の手前に歌碑と句碑がひっそりと佇んでいます。 これは平安遷都1200年を祝して行われた ‟京の川づくり“の一環として鴨川東岸三条から七条の間に「花の回廊」が整備されたことを記念して公募され選ばれた短歌と俳句が刻まれています。

「我が心 きよめ流るる鴨川は 優しき母のまなざしに似て」

三条大橋を西方面に渡ると途中に幕末期「新撰組」と「勤皇過激派」の激突した有名な池田屋事件時の刀キズといわれる痕跡が残る橋の擬宝珠や「弥次さん喜多さん」の銅像を横目に歩くと木屋町通りに達します。 その角を北方面に5~6分歩き御池通りに着き、右折すると50m先に大きな石碑が目に入ります。 皆様ご存じ夏目漱石の句が刻まれています。

「春の川を 隔てて 男女哉」

漱石碑

前述、祇園のお茶屋「大友(だいとも)」の女将で文化人でもあった磯田多佳へ贈った句です。 かつて交友があった二人ですが、あるとき一寸した行き違いから疎遠になりましたが漱石は多佳のこと思いながら詠ったものです。

不思議なことに、前述の吉井勇の歌碑と夏目漱石の句碑が時空を超えて一人の女性(磯田多佳)で繋がっています。

暑い最中ではありますが、涼しさを求めながら鴨川周辺の道端に残るこれらの歌碑や句碑等を訪ねながら当時の人たちに想いを馳せてみては如何でしょうか。 リポート島添

三条大橋 P1030619

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